2015.11-12

2015_11_12

「椎の実」

いつものことながら、個展前後一ヶ月は記憶があまりない。ない、というか飛び石のように断片的に思い出してはゆっくりと行間がうまってゆくようだ。

いつまでこんな風に自由に制作と発表を続けられるのか、そんなことを慢性的な不安として抱えているのだが、これほど熱中できることを簡単に止められるとも思えない。現実はたまに酷く手厳しいことをしてくるので、先のことはわからないけれど、来年も気長に見守っていただけましたら幸いです。

2015.10

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「魚釣り」

先月のこと、人生で初めて魚釣りに行ってきた。まだ薄暗いうちに海岸に着き、久しぶりに太陽が昇るところに立ち会った。日の出と日の入りの情景はよく似ているということを思いだした。それは人生の始まりと終わりにも似ている。
その場に居合わせたならば、じっと息を詰めて見守り、いつまでもいつまでも見送る。その光の帯が見えなくなるまで。

2015.09

2015_09

「去り際」

8月の台風が早々に夏をひっくるめて持ち去ってしまったので、既に秋の気配が漂っている。暦をめくった途端に年末までの日付が透けて見えるようだ。

可能性の先に出会ういくつもの絶望や挫折は元より、好きなことを続けるということは苦しいこともすべて引き受けるということ。誰よりも信じ難い自分を信じるということ。悔しいことがあっても、心の中で「あはは」と笑って暗い気持ちはすぐに忘れるように。悔しさは後々いいバネになる。

2015.07-08

2015_0708

「0 to 1」

何かを始める前、新しく動き出す前のまさに「0」が「1」になる瞬間こそが一番力を使う。そしてとても怖い。怖くてなかなか「1」に踏み込めない。例えばある方向性で作品を作り始めたいけれど、果たして次の個展の会期に間に合うのかとか。わざわざ見に来てくださる方々に、見せられるレベルまで完成度を高められるのか。自分のギリギリ目一杯背伸びした目標値まで辿り着けるかなど。

そんなこんなで逡巡しつつも時間の制約にも迫られて、もう飛び込む時間です。

2015.06

2015_06

「道標」

生きる、という言葉はシンプルでいてなかなか力強い言葉だ。子どもの頃は当たり前のこととして空気を胸に吸い込むくらい簡単なことに思えたが、年を重ねるにつれ、その意味合いも含めて複雑になっていくのがわかる。肉体が健康だからといって心が健全で、満たされているとは限らない。目に見えないくらいのささいな事柄が日々更新されていて、気がつけば自分が思いもよらぬ場所に立ちすくんでいることもある。そのようなことにならないように、そうなっても直ぐに立ち直れるように、自分だけのマイルストーンを心に刻んで。

2015.05

2015_05

「慎ましく」

前月の個展の後片付けや刷り増しをだいたい終えると、しばらくは身の回りを整えたり、空気を入れ替えるようなことをして過ごしていた。毎週のようにどこかの展覧会に立ち寄り、週末は外に出てよく歩き、料理のレシピを増やし、夏に向けてうさぎの飼育環境を整えたりした。
最近はまた各地で地震や噴火の危険が高まっているようだが、私たちには為すすべがない。最悪の事態を想像して落ち込んだり開き直ったりしながら、出来ることと言えば、ただこの日常の一日を丁寧に過ごすしかないのだろうなと思った。

2015.04

2015_04

「継続」

ギャラリーAccaでの個展が終わってしばらく、心の中ではずっと膝を抱えて座り込んでいるような気分で過ごしていた。どう説明したら良いのだろう。とにかくこのままではいけないという気持ち。理由は自分ではっきりとわかっていて、とにかくそれをやらねばならない。

今回の個展にわざわざ足を運んで見に来てくださった方々、作品購入という形で最高の評価してくださった方々のお気持ちに応えるためにも、作品は勿論のこと、今後たくさんのことに挑んでいかなければと気持ちが引き締まるのです。

2015.03

2015_03

「更新」

季節が冬から春に移り変わるように、人も時間の経過と共に勝手に成長してゆくのならよいけれど、なかなかそうもいかなくて。必死になってもがきながら、自分を更新する作業も時々必要になる。作品制作においては、その更新作業が自分にとっては「個展」かなと思う。

このペースでどこまで続けられるかわからないけれど、行けるところまで行ってみようかと。

2015.02

2015_02

「透過」

日本に住んでいて、日々の生活の為に働いて、働いて、働いて…。何が忙しいのかわからないうちに月日が過ぎていく。一日をどう上手く回すかという感覚だけが鍛えられて、本来の自分のことなんか忘れてしまう。

まずは一冊の詩集、一編の詩に触れるだけでいい。
するとその間だけ、時間はゆっくりと流れ出す。
立ち止まって、深呼吸して、それから思い出せばいい。
本当に大切なことを。

2015.01

2015_01

「光あれ」

天気の良い大晦日、思いつきで灯台でも見ようかと海へ向かった。
終着駅で降り、空の広いの方向に坂を下ると漁港が見えて来た。眠るように揺れる船を眺めながら海に沿って歩き、岸壁に腰掛けると持って来たクリームパンを袋から取り出して食べた。

今という瞬間は近過ぎてその価値がよくわからないが、後になってわざわざ振り返って懐かしむくらいだから、よほど貴重なものなのだろう。今年もその貴重な今を大切に日々過ごしたいと思う。